2025夏期講習を公開!
「I HOPE.」をコンセプトに掲げ、こども達の創造性や未来を広げる機会を提供したいと思うKANEBOが協賛した「FRaU×KANEBO こどもコンテストワークショップ 2025夏期講習」の授業内容を詳しくご紹介します。
"自分の個性を引き出して、
自信を持つことができるのがメイクなんですよ”

メイクの理由は人それぞれ
――それでは早速始めましょう。まずは河崎さん、化粧品にはどんな種類があるのでしょうか。
「化粧品は、大きく三つにわかれます。ひとつがスキンケア。次がファンデーションなどのベースメイク。そしてアイシャドウやチーク、リップなどのポイントメイクに分類されます。ポイントメイクのアイシャドウ、チーク、リップなどは色を付ける働きがあります。アイブロウやマスカラ、アイライナーは、線を書いたり、強調したりするものです。メイクアップ品はなんのために使うと思いますか?
「“強く見えそうだから”、“好きなキャラクターになれそうだから”、“もっと素敵な自分になれそうだから”など、メイクをする理由は人によって違います。そしてそのどれもが正解です。自分の個性を引き出して、自信を持つことができるのがメイクなんですよ」
”ひとつの製品が生まれて皆さんのもとに届くまでには、たくさんの人が関わっています。"
化粧品ができるまで
――それでは次に、お化粧品がどうやって作られるのか教えてください。
「ひとつの製品が生まれて皆さんのもとに届くまでには、たくさんの人が関わっています。まずブランド担当。どんな製品を作ろうか、どうやってお客様に伝えるかを決めます。製品作りの中ではリーダー的な存在です。ブランドの世界観やトレンド、お客さまの声を大事にしています。思いが強くて熱い人が多いですね。
次は研究です。研究は製品の機能、世界観に合わせてさまざまな原料を組み合わせて製品を開発しています。技術だけではなく、色や質感による表現を追求しています。もの作りや図工が好きな人とか、算数や理科といった理系の科目が得意な人が多いですね。次は生産です。発注量に合わせて工場で製品を作るお仕事です。店頭で品切れにならないように計画的に素早く、かつ最高の製品を作ります。責任が重くて失敗できない仕事なので、慎重な人が多いですね。
販売は、お客様のお顔立ちや要望に合わせて最適な製品を提案する接客のプロフェッショナルです。最近ではオンラインカウンセリングも充実し、より気軽に化粧品に触れる機会が増えています。これらの人たちがそれぞれの役割を経てから、化粧品が皆さんの手元に届きます」


開発から生まれる製品の影に
――河崎さんの化粧品開発の話に戻りたいと思います。河崎さんはどんなお化粧品を作っているのですか。
「私が一番得意としているのが、アイカラーを作ることです。アイカラーは、目元に陰影をつけて、立体的な視覚効果を持たせるメイクアップ化粧品。中身のほとんどは、粉でできています。この粉を少量の油、色をつけるための着色剤、キラキラさせるためのパール剤を混ぜてギュッと押し固めて作ります。使う油は、軟膏としてよく使われるワセリンや植物性の油など、しっとり感を感じるものから、密着するものまでいろんな種類があります。顔から出てくる余分な皮脂を吸って、テカリを予防したり、汗でお化粧が崩れるのを防いだり、仕上がりがナチュラルで使いやすいように調整することもできます。また、粉に油を含ませると、お団子状になります。適度に固めることで、コンパクトケースに複数の色を入れて持ち歩きしやすいようにします。
次に着色剤です。色を組み合わせると、無限の数の色を作ることができます。そしてアイカラーの魅力を語る上で欠かせないのが、パール材。輝きやきらめき、複雑な色変化を表現できます。 これらを組み合わせて、理想の色を求め、商品化までに何度も試作をします。色や輝きはアイカラーの魅力そのものなので、神経を使って細かく調整しています。評価をする際は、さまざまな肌色の人で試し、どんな肌色の人でもきれいに発色するか、色味が違って見えないかなども確認しているんですよ。
ブランド担当と研究部員で何度も、試作と評価を繰り返します。こういった過程を経てひとつの製品が完成するんです。
その中で、採用されなかった試作品は、今までは捨てるしかありませんでした。年間に数百万の製品を開発しています。その一つ一つの製品の裏には、色や質感を追求して、やむを得ず選ばれなかった色がたくさんあるんです。製品化が決まったとか、納得いく色ができたという嬉しさと達成感の影で、選ばれなかったきれいな色を捨てなければいけない心のモヤモヤがずっとありました。


アップサイクルって?
これを何かに生かせないかなと思ったのがアップサイクルを始めたきっかけです。3年ほど前から絵の具にアップサイクルする取り組みを始めました。株式会社モーンガータさんとの出会いによって、アイカラーの粉を、絵の具に加工していただくことができたんです」
――たくさんの色ができる中で、化粧品にならなかったものも出てくる。それが変身できるんですね。
「皆さんは、リサイクルという言葉を知ってますか。不要になった製品を一度資源に変えてから、新しい製品を作ることを指します。 一方、アップサイクルというのは、元のものを生かしつつ、今までとは違う魅力を持つものに生まれ変わらせることを指します」
――そのものを生かしながら、違うものにするということですね。
「パールによるきらめきなど、化粧品ならではのきれいな色や質感があって、普通の絵の具とはひと味違う彩りを楽しむことができるんですよ。試作のたびに生じる色や質感は違うので、絵の具も毎回少しずつ色が異なるんです。唯一無二の色と出会えるところも魅力かなと思います」
”KANEBOはこれからも、様々な形で皆様の心に「わくわく・きらめき・希望」をもたらせればと思います。"